片麻痺性肩関節痛症候群に対する拡散型体外衝撃波療法の効果
Sung Hwan Kim , Kang Wook Ha , Yun Hee Kim , Pyong-Hwa Seol , Ho-Jun Kwak , Seung-Wan Park , Byung-Ju Ryu . Effect of Radial Extracorporeal Shock Wave Therapy on Hemiplegic Shoulder Pain Syndrome. Ann Rehabil Med. 2016 Jun; 40(3): 509–519.
PMID: 27446789 PMCID: PMC4951371 DOI: 10.5535/arm.2016.40.3.509
No.2021-18
執筆担当: 和歌山国際厚生学院 福井 直樹
掲載:2021年6月17日
【論文の概要】
片麻痺性肩痛(HSP)は脳卒中後の最も一般的な問題の1つであり、有病率は34〜84%、回復を阻害し、生活の質を低下させる可能性がある。また1つの病理だけでは、脳卒中後の肩の痛みを説明できず、一般にHSPの原因は、肩の亜脱臼、腱板損傷、癒着性関節包炎、CRPSなどであると考えられている。従来の集中型ESWTと比較して、拡散型体外衝撃波療法(rESWT)は、標的領域に衝撃波を集中させない。本研究の目的は、脳卒中後のHSP に対するrESWTの有益な効果を調査することである。方法、肩甲下筋と棘上筋の付着部位へのrESWTはHSP症状の軽減に効果的であるため、大結節と小結節で8セッション実施した。刺激は部位ごとに1,500パルスの合計3,000パルスとし、周波数12 Hz、刺激強度は0.39から1.95mJ/mm 2 1.0および5.0 barの間で、局所麻酔なしで患者が許容できるレベルとした。Sham刺激はCDプレーヤーで同じ音を出した。評価はMain outcomeをVAS、Constant murley score(100point)、Secondary outcomeをMAS、ROM、FMA上肢とした。結果、VASスコアは、介入群のベースラインと比較して、介入後および2週間および4週間のフォローアップで有意に改善した。対照群も、VASスコアは介入後有意に改善した。介入群と対照群のベースラインと介入後・2週間のフォローアップ・4週間のフォローアップの間にも有意差を認めた。
【解説】
本研究はHSP患者の痛みと機能に対するrESWTの効果に焦点を当てた最初のランダム化比較試験である。結果は、片麻痺の肩の肩甲下筋と棘上筋の挿入部位でのrESWTの8回のセッションが痛みを軽減し、その効果が少なくとも4週間続くことを示した。介入後の痛みの軽減量は、rESWTグループとコントロールグループでそれぞれ1.69と0.45であり、軽減量は患者の満足度としては小さい。しかし、4未満のVASスコアへの痛みの軽減がrESWTグループでのみ見られたことから臨床的意義はあると考えられる。HSPは、肩部のROMを制限し1)2)、原因として滑膜炎症および莢膜線維症の組み合わせに起因すると考えられている。3‐5)rESWTは、HSP患者の疼痛管理のための効果的かつ安全なモダリティの1つである可能性がある。
【引用・参考文献】
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