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Effectiveness and safety of electrical stimulation for treating pressure ulcers: A systematic review and meta-analysis.Lian Chen , Yue Ruan , Yuxia Ma , Long Ge , Lin Han . Int J Nurs Pract. 2023 Apr;29(2). PMID: 35244315 DOI: 10.1111/ijn.13041


No.2023-06

執筆担当:医療法人富田会 富田病院 木村 文彦

掲載:2023年5月31日


【論文の概要】

褥瘡の治療において電気刺激が臨床的に用いられることが多いが、その有効性や安全性、問題点などは明らかでない。そこで褥瘡治療における電気刺激の有効性と安全性に関する定性的なエビデンスを統合することを目的にシステマティックレビューを行った。結果、740人の患者を含む17のランダム化比較試験が本研究に含まれた。8つのランダム化比較試験のメタ分析では、電気刺激が標準的な創傷治療のみ、またはシャム刺激と対比して、潰瘍表面を有意に減少させることが示された。9つの研究では、電気刺激によって褥瘡が完全に治癒する可能性が対照群よりも高まることが示された。3つの研究では、副作用は希であったと報告されている。本研究により、電気刺激は褥瘡治療において比較的有効で安全な補助療法であることが示された。


【解説】

褥瘡は治療が困難であり、患者・家族のQOLを大きく低下させると報告されている1)。

電気刺激(ES)は褥瘡の治療に広く用いられているが、ESが有効であるかどうかのエビデンスはまだ十分ではない。本研究においては潰瘍表面を有意に減少されることが示されているが、他のシステマティックレビューによる9件のランダム化比較試験と非ランダム化比較試験においては電気刺激を使用した場合と標準的な創傷治療との間で褥瘡の完全治癒に有意差はなかったとの報告もされている2)。電気刺激は比較的安全に使用できることからも臨床場面において選択が容易であり、その治療効果が望まれる。創傷治癒を改善させるかどうかについてのエビデンスを明らかとするため、今後の研究では大規模な臨床試験にも焦点を当てる必要があると考える。


【引用・参考文献】

1)Mohit Arora , Lisa A Harvey , Joanne V Glinsky , Lianne Nier , Lucija Lavrencic , Annette Kifley , Ian D Cameron. Electrical stimulation for treating pressure ulcers. Cochrane Database Syst Rev. 2020 Jan 22;1(1):CD012196.doi: 10.1002/14651858.CD012196.pub2.

2)Health Quality Ontario. Electrical Stimulation for Pressure Injuries: A Health Technology Assessment. Ont Health Technol Assess Ser. 2017 Nov 8;17(14):1-106.eCollection 2017

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Cold-Water Immersion and Sports Massage Can Improve Pain Sensation but Not Functionality in Athletes with Delayed Onset Muscle SorenessPMID:36553973 PMCID:PMC9778006 DOI:103390/2022/10122449


No.2023-05

執筆担当:香里園とみた整形外科リウマチクリニック 河西 紀秀

掲載:2023年4月4日


【論文の概要】

アマチュアアスリートにおける遅発性筋肉痛(DOMS)に対する冷水浴(CWI)及びスポーツマッサージの効果を調査した研究である。60名の男性アマチュアアスリートを4つのグループ(n=15)に無作為に分け、下肢にプライオメトリック・トレーニングを行った後、CWI、スポーツマッサージ、またはそれらを併用した群と対照群とに分け検討した。

主なアウトカム指標は、疼痛(VAS)、労作(Borgスケール)、大腿直筋周囲(超音波診断)、膝関節屈曲可動域、膝関節伸筋の等尺性筋力、およびCPK値である。

プライオメトリック・トレーニング前、治療直後、運動後24時間、48時間、72時間後に測定した結果、各群間に有意差は認められなかった。CWIは、運動後2日目と3日目の両方で、CWIとスポーツマッサージの併用群、および対照群と比較して疼痛の改善を示した。また、CWIと併用したスポーツマッサージ群は対照群に比べ、疼痛の感覚を有意に減少させた。本研究における治療介入は、疼痛の軽減及びDOMSの症状改善に対しどのような影響が認められるのか。また、機能的能力の改善においても検証され報告されている。


【解説】

DOMSはプロ・アマ問わず、高強度のプライオメトリック・トレーニング後に最もよく見られる臨床症状である1)2)3)

本研究における、新規性としては、疲労プロトコルの後にクールダウンプログラムを実施し、実際のスポーツ条件をシミュレートしていることである。

DOMSの症状を改善するための治療法として、CWI4)、スポーツマッサージの使用、及び過労性運動後のクールダウンの実施を支持している。効果量については、すべての変数が大きな効果を示したが、但し本治療法を実践する場合、CWIとスポーツマッサージの併用はアスリートの機能的能力の改善に大きな影響を与えることはないようである。

しかし、DOMSを軽減することは示されており、プライオメトリック・トレーニング後のクールダウンはCWIとスポーツマッサージを組み合わせることで、痛みやDOMSの軽減において部分的に効果が得られたと報告されている。DOMSを有するアスリートの回復戦略として、機能的改善を目的に実践する場合においては、リカバリーの介入方法を検討する必要性があると思われる。


【引用・参考文献】

1. Newham, D.; Mills, K.R.; Quigley, B.M.; Edwards, R.H.T. Pain and Fatigue after Concentric and Eccentric Muscle Contractions. Clin. Sci. 1983, 64, 55–62.

2. Clarkson, P.M.; Byrnes, W.C.; McCormick, K.M.; Turcotte, L.P.; White, J.S. Muscle Soreness and Serum Creatine Kinase Activity Following Isometric, Eccentric, and Concentric Exercise. Int. J. Sports Med. 1986, 07, 152–155.

3. Cheung, K.H.; Hume, P.A.; Maxwell, L. Delayed onset muscle soreness: Treatment strategies and performance factors. Sports Med. 2003, 33, 145–164.

4. Ingram, J.; Dawson, B.; Goodman, C.; Wallman, K.; Beilby, J. Effect of water immersion methods on post-exercise recovery from simulated team sport exercise. J. Sci. Med. Sport 2009, 12, 417–421.

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The effects of electrical stimulation on diabetic ulcers of foot and lower limb: A systematic review.

Gianluca Melotto , Thanaporn Tunprasert , Jacqueline Rachel Forss

Int Wound J. 2022. 19(7):1911-33.

PMID: 35112496 PMCID: PMC9615295 DOI: 10.1111/iwj.13762


No.2023-04

執筆担当: 関西福祉科学大学 植村 弥希子

掲載:2023年3月8日


【論文の概要】

糖尿病性足病変(Diabetic Foot Ulcer: DFU)は糖尿病患者の1/3が罹患すると言われており、DFU患者の約3割が最終的に切断に至る可能性がある。QOLだけでなく医療経済的にも問題視されている。電気刺激療法は慢性潰瘍の治癒促進効果を有する非侵襲的な治療手段であることから、DFUに対する効果のシステマティックレビューを行った。計560本の論文から不適切な論文を除外し、最終的に7本の論文で解析した。3本は低強度の直流電流を、4本はパルス波を採用しており、その内1本は単相性のHVPCで残り3本は交流であった。3本の論文で電気群の治癒率は有意に高く、2本の論文で面積治癒率は有意に改善したが、治癒期間を比較した論文(1本)では差は認められなかった。電気刺激はDFUの治癒を促進させる可能性があるが、患者背景やサンプルサイズ、異なる刺激条件での比較などの問題があるため、今後は広範かつ包括的な研究が必要である。


【解説】

DFUは足部に発生することが多く、また、知覚障害を有するDM患者であればその発生リスクは高くなる。本文中にもある通り、本邦でもその潜在患者数が指摘されており2022年度の診療報酬改定において運動器リハビリテーションの算定が可能となった疾患である。慢性潰瘍に対する電気刺激療法の効果は褥瘡や下腿静脈潰瘍においてその治療効果が論じられており1),2、DFUを対象とした研究も増えてきている。今回、RCTおよびretrospective studyを対象としたシステマティックレビューが実施されたが、Limitationにも記載されている通り、刺激条件やDFU患者の日常生活指導などが統一されていない。DFU患者では免荷(off-loading)が日常生活において重要であり、電気刺激療法はあくまで補助療法であることに注意が必要である。治癒期間についても比較している研究は少なく、介入開始時の創の大きさや介入期間にも差があるため、本論文のデーターだけでは十分に議論ができない。今後は条件を統一した方法での他施設研究などが望まれる。


【引用・参考文献】

1) Kawasaki L., Mushahwar VK., Ho C., et al. The mechanisms and evidence of efficacy of electrical stimulation for healing of pressure ulcer: a systematic review. Wound Repair Regen. 2014;22(2):161-73.

2) Miller C., McGuiness W., Wilson S., et al. Venous leg ulcer healing with electric stimulation therapy: a pilot randomised controlled trial. J Wound Care. 2017;26(3):88-98.

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