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脳卒中に対するFESの長期的キャリーオーバーの神経的関連性

Marta Gandolla 、 Nick S Ward 、 Franco Molteni 、 Eleonora Guanziroli 、 Giancarlo Ferrigno 、 Alessandra Pedrocchi。 The Neural Correlates of Long-Term Carryover following Functional Electrical Stimulation for Stroke。 Neural Plast。 2016;2016:4192718。

PMID: 27073701 PMCID: PMC4814690 DOI: 10。1155/2016/4192718


No。2021-10

執筆担当: 和歌山国際厚生学院 福井 直樹

掲載:2021年4月16日


【論文の概要】

機能的電気刺激(FES)は、脳卒中のリハビリテーションで一般的に使用される補助療法であり、主に下垂足に対して使用され、装具なしで自発的に足を背屈させる能力を再学習させる。この現象は「キャリーオーバー効果」と呼ばれ、多くの研究で観察されている。効果のメカニズムは不明であるが、随意努力とFESの電気刺激との相互作用により、中枢神経系に神経可塑性の効果がもたらされるという仮説が立てられている。しかし、神経学的な患者のキャリーオーバーの有無の特徴は明らかにされていない。本研究はFES治療前、運動中、刺激中の脳活動(または相互作用)が、FES治療後の随意的な足関節背屈のキャリーオーバー効果の予測に価値があるか調査した。方法は脳卒中発症6ヶ月以上経過を対象とし、表面電極を腓骨神経に沿って配置したFESを用いて、歩行のスウィングフェーズ中にTAの収縮を誘発した。fMRIデータの分析した結果、患者間において、一次および二次体性感覚皮質、対側中心傍小葉、両側前頭皮質、帯状回、楔前部、および縁上回でタスク関連の活性化を示した。FES後のキャリーオーバーの患者では、対側補助運動野(SMA)は刺激および随意状態でより活発であり、同側M1は随意運動でより活動的であることが明らかとなった。


【解説】

本研究の結果から、キャリーオーバー効果に関与する重要な領域として、補助運動野(SMA)と角回(AG)が示された。SMAは運動の準備と計画に関連しており、慢性脳卒中患者の運動試行中に過剰な活動を報告している(1。今回、SMAは意図が存在する状態で活動を示した。FESキャリーオーバーは、FESと随意運動中にSMA活性化を示すが、AGとFV間の相互作用は示さなかった。キャリーオーバー効果は、動きの予測と身体の所有感によって生じる可能性がある。随意運動による感覚的な結果を予測することは、実際の感覚結果と比較される。随意的意図とFESと同期した運動を実行すると、運動は自己生成されたと認識される。その結果、患者は、長期増強効果を強化する可能性が高い(2。実際、随意的な努力と正常に完了した運動の知覚の組み合わせは、ヘッブの法則のような可塑性を促進する体性感覚フィードバックとなる。


【引用・参考文献】

1) Cramer S. C., Nelles G., Benson R. R., et al. A functional MRI study of subjects recovered from hemiparetic stroke. Stroke. 1997;28(12):2518–2527. doi: 10.1161/01.str.28.12.2518.

2) Wolpert D. M., Flanagan J. R. Motor prediction. Current Biology. 2001;11(18):R729–R732. doi: 10.1016/s0960-9822(01)00432-8.

 
 
 

外側上顆炎に対する超音波療法と体外衝撃波療法の比較

Comparison of ultrasound and extracorporeal shock wave therapy in

lateral epicondylosis


Yalvaç B, Mesci N, Geler Külcü D, et al. Comparison of ultrasound and extracorporeal shock wave therapy in lateral epicondylosis. Acta Orthop Traumatol Turc. 2018 Sep;52(5):357-362. doi: 10.1016/j.aott.2018.06.004. Epub 2018 Jun 28.

PMID: 30497658; PMCID: PMC6204478.


No.2021-09

執筆担当:関西福祉科学大学 保健医療学部 リハビリテーション学科 梛野浩司

掲載:2021年4月13日


【論文の概要】

外側上顆炎(Lateral epicondaylosis: LE)は前腕伸展筋群と外側上顆の痛みを伴い、日常生活動作を制限する。LEに対する保存療法として、寒冷療法、体外衝撃波(extracorporeal shock wave thrapy: ESWT)、超音波(US)、レーザー針治療、マッサージ、運動療法、薬物療法などがある。

本研究の目的は、LEに対するUSとESWTの治療効果を比較することであった。対象はLEと診断され発症から3ヶ月以上経過した50名(年齢16-65歳)とし、無作為にUS群とESWT群に振り分けた。US群では周波数1MHz、出力1.5W/㎠にて連続波を1日5分、1週間に5日実施し合計10セッション行った。ESWT群では周波数10-15Hz、圧力密度1.5-2.5、2000パルスにて1週間に1度、合計3セッション行った。評価は治療開始時、終了後、終了1ヶ月後の3回行った。評価項目は痛みについてVASと圧痛閾値、筋力については握力、機能評価についてはThe disability of the arm, shoulder, and hand socre(DASH)とPatient-rated elbow evaluation(PRTEE)、そしてQOLの評価としてShort Form-36(SF-36)であった。

結果、US群およびESWT群ともに治療前後で比較するとVAS(両群ともp<0.0001)、疼痛閾値(両群とも p<0.0001)、握力(p=0.001 vs p=0.015)、圧痛閾値(両群とも p<0.0001)、PRTEE(両群とも p<0.0001)、QDASH(両群とも p<0.0001)、SF-36(p=0.001 vs p=0.005)と有意に改善した。また、治療前と治療終了1ヶ月を比較すると両群とも有意に改善しており治療効果が1ヶ月持続することが確認できた。2群間の比較では圧痛閾値のみESWT群が有意であり、それ以外は2群間で差がなかった。


【解説】

ESWTは非侵襲的な治療法であり、もともとは体外衝撃波結石破砕術からその物理理論を基礎に、難治性骨癒合や遷延性骨癒合に対する治療として開発された1,2)。衝撃破はまず生体内に入ると細胞骨格の付属物を活性化し、細胞核からのmRNAの放出につながる。これに続いてミトコンドリアや小胞体などの細胞器官と細胞小胞が活性化され、治癒過程を促進する。超音波についても同様のメカニズムが報告3,4)されているため、本研究におけるUS群とESWT群の治療効果に差がなかったことも納得である。しかし、USに比べESWTでは治療回数が少ないことを考えると臨床的有用性としては優れていると考えられる。


【引用・参考文献】

1. Valchanou VD, Michailov P. High energy shock waves in the treatment of delayed and nonunion of fractures. Int Orthop 1991;15:181–184.

2.  Schleberger R, Senge T. Non-invasive treatment of long-bone pseudarthrosis by shock waves (ESWL). Arch Orthop Trauma Surg 1992;111:224–227

3. Dyson M, Suckling J. Stimulation of tissue repair by ultrasound: A survey of the mechanism involved. Physiotherapy 1978; 64: 105-108.

4. Dyson M, Pond JB. The effect of pulsed ultrasound on tissue regeneration. Physiotherapy 1970; 64: 105-108.


 
 
 

筋電図バイオフィードバックを併用した足部内在筋の筋力増強エクササイズは高齢者の足趾屈曲力を増加させる:予備的ランダム化比較試験


Kazunori Okamura , Kohei Egawa , Akira Okii , Sadaaki Oki , Shusaku Kanai . Intrinsic foot muscle strengthening exercises with electromyographic biofeedback achieve increased toe flexor strength in older adults: A pilot randomized controlled trial. Clin Biomech (Bristol, Avon). 2020 Dec; 80: 105187.

PMID: 33038685 DOI: 10.1016/j.clinbiomech.2020.105187


No.2021-08

執筆担当:県立広島大学 岡村 和典

掲載:2021年3月31日


【論文の概要】

 高齢者の転倒を予防するために、足趾屈曲力の強化が重要である。足趾屈曲力を強化するためには、足部外在筋だけでなく足部内在筋も鍛える必要がある。しかし、多くの高齢者にとって足部内在筋の筋力増強エクササイズは技術的難易度が高いため、これを適切かつ効果的に実施するための手段が求められている。本研究では、23名の地域在住高齢者をランダムにコントロール群と筋電図バイオフィードバック(EMG-BF)群に割当て、高齢者の足部内在筋の筋力増強エクササイズにEMG-BFを併用することの効果を検証した。コントロール群は従来通りの方法で、10分間の足部内在筋の筋力増強エクササイズを週に2回6週間実施した。EMG-BF群は同様のエクササイズをEMG-BF併用下で実施した。なお本研究では、筋力増強エクササイズ中の母趾外転筋の筋活動の大きさをランプの点灯数で対象に知らせる視覚的EMG-BFと、筋活動の大きさに比例した強度の電気刺激を母趾外転筋に与える筋電制御型電気刺激によるEMG-BFの2種類を同時に使用した。6週間後、利き足の足趾屈曲力は両群とも増加したのに対し、非利き足ではEMG-BF群のみ足趾屈曲力が増加した。


【解説】

 足部内在筋は足趾屈曲力の重要な決定因子である1)。足部内在筋の筋力増強エクササイズとしては、本研究でも用いられたShort foot exerciseやToe spread out exercise等が有名だが、技術的難易度が高く若年者であっても修得に多くの練習が必要である。EMG-BFの利用は、若年者が足部内在筋の筋力増強エクササイズを学習する際に有効であると報告されており2)、本研究の結果はこれが高齢者にも適用可能であることを示唆している。バランス能力の向上や転倒予防効果について明らかになっていないものの、足部内在筋の筋力増強エクササイズの修得に難渋する症例への介入として、一考の価値があると考える。


【引用・参考文献】

1) Kurihara T, Yamauchi J, Otsuka M, et al. Maximum toe flexor muscle strength and quantitative analysis of human plantar intrinsic and extrinsic muscles by a magnetic resonance imaging technique. J Foot Ankle Res. 2014; 7: 26.

2) Okamura K, Kanai S, Hasegawa M, et al. Effect of electromyographic biofeedback on learning the short foot exercise. J Back Musculoskelet Rehabil. 2019; 32(5): 685-691.

 
 
 

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