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化学放射線治療を受けた頭頚部がん患者の嚥下障害に対する神経筋電気刺激の効果

化学放射線治療を受けた頭頚部がん患者の嚥下障害に対する神経筋電気刺激の効果


Impact of transcutaneous neuromuscular electrical stimulation on dysphagia in patients with head and neck cancer treated with definitive chemoradiation.

Head Neck. 2015. 37(7):1051-6.

PubMed PMID: 24710791


No.2021-28

執筆担当: 関西福祉科学大学 植村 弥希子

掲載:2021年12月27日


【論文の概要】

化学放射線治療の副作用の1つに嚥下障害がある。経皮的電気刺激療法は比較的新しい治療法であり、嚥下障害に対するリハビリテーションで使用されているが、頭頚部がん患者における効果検証は不十分である。今回、化学放射線治療を受けた頭頚部がん患者95名を対象に最低5mA、80Hz、300msecの電気刺激を前頸部へと45~60分間、週3回実施した。治療前後でFOIS (Functional Oral Intake Scale)、8-point Penetration-Aspiration Scale、Swallowing Performance Status Scaleを評価した。治療を10回受けた群、9回以下の群に分け、比較検討した。両群ともに化学放射線治療後に嚥下機能は悪化した。FOISは治療群の方が対照群に比べ、嚥下障害の低下は軽度であった(23% vs 7%, p=0.015)が、その他のスケールでは有意な差は認めなかった。化学放射線治療後の嚥下障害悪化の要因として、年齢、アフリカ系アメリカ人、喫煙、DM、癌ステージ4A、両側のリンパ節転移、加速分割照射、10ポンド(4.54kg)以上の体重減少、食生活の改善が必要な人、電気刺激介入なし、放射線治療量の増加が抽出された。本研究により電気刺激療法は化学放射線治療後の頭頚部がん患者の嚥下機能障害に対するリハビリテーションの補助的な治療法として有用である可能性が示唆された。


【解説】

回復期脳卒中患者の嚥下障害に対する電気刺激療法の治療効果は今までも検討されており、通常の嚥下訓練との併用効果については多数の臨床研究にてその有効性が報告されている1)。一方で頭頚部がん後の嚥下障害に関してはエビデンスが乏しく、中には電気刺激療法を行っても改善しないという報告もある2)。本研究においても電気刺激療法による著明な改善効果は認めず、治療効果は限局的であった。放射線治療後の嚥下障害は急性期と晩期に分けられ、急性期では粘膜炎や唾液分泌障害による疼痛、咽喉頭の浮腫、咽頭収縮や喉頭挙上の障害などにより嚥下障害が生じる3)。本研究では放射線治療後から電気刺激介入までの期間について述べられていないが、介入前評価を放射線治療2週間後に行ったと記載されているため、急性期の副作用が生じているものと思われる。このように放射線治療後の嚥下障害の病態メカニズムは脳卒中後の嚥下障害とは全く異なるため、同様の神経筋刺激では効果が得られなかったものと思われる。放射線治療後の嚥下障害に対する物理療法介入にはその病態に即した刺激条件を検討し、実施することが望ましいと思われる。


【引用・参考文献】

1) Alamer A., Melese H., Nigussie F. Effectiveness of Neuromuscular Electrical Stimulation on Post-Stroke Dysphagia: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials. Clin Interv Aging. 2020;15:1521-31.

2) Costa DR., Santos PSS., Rubira CMF., Felix GB. Immediate effect of neuromuscular electrical stimulation on swallowing function in individuals after oral and oropharyngeal cancer therapy. SAGE Open Med. 2020;8: 2050312120974152.

3) 飯野, 岡野, 全田, 林, 化学放射線治療を受ける頭頚部癌患者へのリハビリテーション,日気食会報, 2018;69(2),154-7.

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