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慢性創傷に対する電気刺激方法の階層的評価(メタアナリシス)

慢性創傷に対する電気刺激方法の階層的評価(メタアナリシス)

Charles Khouri, Sylvain Kotzki, Matthieu Roustit, Sophie Blaise, Francois Gueyffier, Jean-Luc Cracowski. Hierarchical evaluation of electrical stimulation protocols for chronic wound healing: An effect size meta-analysis. Wound Repair Regen. 2017 Sep; 25(5): 883-91.

PubMed PMID: 29052946 DOI: 10.1111/wrr.12594


No.2021-01

執筆担当: 関西福祉科学大学 植村 弥希子

掲載:2021年3月3日


【論文の概要】

慢性潰瘍に対する電気刺激療法(ES)の効果は多数報告されているが、その有効性や刺激方法の解明は不十分である。本研究は創傷治癒に対するESの有効性をその方法(波形、電極の位置)や創の種類(糖尿病性潰瘍、静脈性潰瘍、褥瘡)で比較し、検討した。採択論文はRCT29本で、創治癒効果に対するESの標準化平均差(SMD)は0.72(95%CI: 0.48-1)と、効果サイズは中等度であった。創治癒効果は二相性より単相性刺激の方が高く(SMD:0.84, 95%CI: 0.48-1.19)、高電圧パルス電流(HVPC)で関電極を創上に設置する方法が最も効果が高かった(SMD; 0.8, 95%CI: 0.38-1.21)。創の種類で比較すると褥瘡に対する効果が最も高かった一方で、静脈性潰瘍に対する効果は乏しかった。直流電気刺激については効果なしという結果となったが、論文数が少なく正確な評価は困難であった。また、創治癒効果のアウトカムとしては創面積での評価の感度が高かった。


【解説】

褥瘡に対するESの効果のメタ解析は複数あり、その有効性はすでに報告されている1-3)。本研究は刺激条件と創の種類によりメタ解析した初めての報告である。解析は単相性、二相性、HVPC、直流、低電圧パルス電流の波形の違いや電極の設置位置を用いて行われた。ESの治療メカニズムについては十分に解明されていないが、波形や極性が肉芽を構成する線維芽細胞の遊走能に影響を与えている4), 5)ことから、本研究の解析は意義深い。本研究では単相性のHVPCが創面積の縮小に最も有効であると結論付けられているが、29本中、HVPCは16本であるのに対し、その他の波形を使用している報告はいずれも5本未満である。HVPC以外の波形に関しては十分に解析できているとは言い難いが、HVPCが慢性潰瘍の中でも特に褥瘡治療に有効であることは明らかにされた。


【引用・参考文献】

1) Liu L, Moody J, Gall A. A Quantitative, Pooled Analysis and Systematic Review of Controlled Trials on the Impact of Electrical Stimulation Settings and Placement on Pressure Ulcer Healing Rates in Persons With Spinal Cord Injuries. Ostomy Wound Manage. 2016;62:16-34.

2) Liu LQ, Moody J, Traynor M, et al. A systematic review of electrical stimulation for pressure ulcer prevention and treatment in people with spinal cord injuries. J Spinal Cord Med. 2014;37:703-18.

3) Lala D, Spaulding SJ, Burke SM, et al. Electrical stimulation therapy for the treatment of pressure ulcers in individuals with spinal cord injury: a systematic review and meta-analysis. Int Wound J. 2016;13:1214-26.

4) Tsai CH, Lin BJ, Chao PHG. α2β1 integrin and RhoA mediates electric field‐induced ligament fibroblast migration directionality. J Orthop Res. 2013;31:322-7.

Uemura M, Maeshige N, Koga Y, et al. Monophasic Pulsed 200-μA Current Promotes Galvanotaxis With Polarization of Actin Filament and Integrin α2β1 in Human Dermal Fibroblasts. Eplasty. 2016;19:e6.

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