筋電図バイオフィードバックを併用した足部内在筋の筋力増強エクササイズは高齢者の足趾屈曲力を増加させる:予備的ランダム化比較試験
Kazunori Okamura , Kohei Egawa , Akira Okii , Sadaaki Oki , Shusaku Kanai . Intrinsic foot muscle strengthening exercises with electromyographic biofeedback achieve increased toe flexor strength in older adults: A pilot randomized controlled trial. Clin Biomech (Bristol, Avon). 2020 Dec; 80: 105187.
PMID: 33038685 DOI: 10.1016/j.clinbiomech.2020.105187
No.2021-08
執筆担当:県立広島大学 岡村 和典
掲載:2021年3月31日
【論文の概要】
高齢者の転倒を予防するために、足趾屈曲力の強化が重要である。足趾屈曲力を強化するためには、足部外在筋だけでなく足部内在筋も鍛える必要がある。しかし、多くの高齢者にとって足部内在筋の筋力増強エクササイズは技術的難易度が高いため、これを適切かつ効果的に実施するための手段が求められている。本研究では、23名の地域在住高齢者をランダムにコントロール群と筋電図バイオフィードバック(EMG-BF)群に割当て、高齢者の足部内在筋の筋力増強エクササイズにEMG-BFを併用することの効果を検証した。コントロール群は従来通りの方法で、10分間の足部内在筋の筋力増強エクササイズを週に2回6週間実施した。EMG-BF群は同様のエクササイズをEMG-BF併用下で実施した。なお本研究では、筋力増強エクササイズ中の母趾外転筋の筋活動の大きさをランプの点灯数で対象に知らせる視覚的EMG-BFと、筋活動の大きさに比例した強度の電気刺激を母趾外転筋に与える筋電制御型電気刺激によるEMG-BFの2種類を同時に使用した。6週間後、利き足の足趾屈曲力は両群とも増加したのに対し、非利き足ではEMG-BF群のみ足趾屈曲力が増加した。
【解説】
足部内在筋は足趾屈曲力の重要な決定因子である1)。足部内在筋の筋力増強エクササイズとしては、本研究でも用いられたShort foot exerciseやToe spread out exercise等が有名だが、技術的難易度が高く若年者であっても修得に多くの練習が必要である。EMG-BFの利用は、若年者が足部内在筋の筋力増強エクササイズを学習する際に有効であると報告されており2)、本研究の結果はこれが高齢者にも適用可能であることを示唆している。バランス能力の向上や転倒予防効果について明らかになっていないものの、足部内在筋の筋力増強エクササイズの修得に難渋する症例への介入として、一考の価値があると考える。
【引用・参考文献】
1) Kurihara T, Yamauchi J, Otsuka M, et al. Maximum toe flexor muscle strength and quantitative analysis of human plantar intrinsic and extrinsic muscles by a magnetic resonance imaging technique. J Foot Ankle Res. 2014; 7: 26.
2) Okamura K, Kanai S, Hasegawa M, et al. Effect of electromyographic biofeedback on learning the short foot exercise. J Back Musculoskelet Rehabil. 2019; 32(5): 685-691.
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