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過活動膀胱患者における経皮的後脛骨神経刺激と徐放性オキシブチニンの比較。プロスペクティブ無作為化試験。

過活動膀胱患者における経皮的後脛骨神経刺激と徐放性オキシブチニンの比較。

プロスペクティブ無作為化試験。

Valentín Manríquez , Rodrigo Guzmán , Michel Naser , Amalia Aguilera , Simonie Narvaez , Ariel Castro , Steven Swift , G Alessandro Digesu . Transcutaneous posterior tibial nerve stimulation versus extended release oxybutynin in overactive bladder patients. A prospective randomized trial.

Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. 2016 Jan;196:6-10.

PMID: 26645117 DOI: 10.1016/j.ejogrb.2015.09.020


No.2020-02

執筆担当:医療法人社団三喜会 鶴巻温泉病院 大江健人

掲載:2021年3月8日


【論文の概要】

過活動膀胱症候群(OAB)は、9.4~16.9%が有するとされ、QOLにも関連する。OABの治療は薬物療法が主体であるが、アドヒアランスが悪いことや副作用が生じることが報告されている。本研究は経皮的後脛骨神経刺激(T.C. PTNS)と抗ムスカリン薬(E.R.O)のOAB症状コントロールとQOLの改善に対する有効性を比較することを目的に無作為化比較試験にて実施された。70名のOAB患者を対象に、34名がT.C. PTNSに36名がE.R.Oに無作為に割り付けられた。T.C. PTNSは後腓骨神経領域に20Hz、200cycles、感覚閾値以上運動閾値以下の強度で30分間の通電を1セッションとして週2回、計12週実施した。

評価はMain Outcomeとして排尿日誌による排尿回数とOAB-q questionnaire(OAB-q)を測定した。結果として両群ともに、排尿日誌とOAB-qの両方でベースラインから統計学的に有意な改善を認めた。12週間の介入期間後、T.C. PTNS群では70%、E.R.O.群では60%の患者で治療効果が得られた。OAB-qでは、T.C. PTNSを支持する有意差が認められた。


【解説】

本研究はOAB患者に対する後脛骨神経への経皮的電気刺激が薬物療法と同程度のOAB症状の改善とQOL向上に寄与したことを報告しており、治療に対する受け入れも薬物療法と比較して良好であった。本邦におけるOABの有病率は40歳以上人口の12.4%に至る1)とされ、OABの治療費用は年間1,809億円にも上る2)。

OABの治療は生活習慣の変化と行動療法が第一選択の治療法であり、改善を認めない場合薬物療法が行われ、これらの治療法が効果的でないと判断された場合には、ボトックスや仙骨神経刺激などのより侵襲的な治療法を行う3)。OABに対する薬物療法は効果がある一方でアドヒアランスが悪いことが報告されており4)、ボトックスや仙骨神経刺激は実施できる医療機関が限られることや高額な費用を要する。OABに対する経皮的電気刺激の報告数自体が少なく、刺激パラメーターやフォローアップ期間の検討など更なる研究が必要であるが、OABに対する介入法として用いる価値があるのではないか。


【引用・参考文献】

1)本間之夫,柿崎秀宏,他 :排尿に関する疫学的研究. 日本排尿機能学会誌.2003:14:266-277.

2) 井上幸恵,小林慎,他:過活動膀胱の医療経済.日泌尿会誌.2008:99 :7:713-722.

3) Lucas M, Bedretdinova et al. :EUA Guidelines on urinary incontinence. European Association of Urology 2014.

4)Gopal M,Haynes K et al. : Discontinuation rates of anticholinergic medications used for the treatment of lower urinary tract symptoms. Obstet Cynecol . 2008 ;112(6):1311-1318.

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