Cold-Water Immersion and Sports Massage Can Improve Pain Sensation but Not Functionality in Athletes with Delayed Onset Muscle SorenessPMID:36553973 PMCID:PMC9778006 DOI:103390/2022/10122449
No.2023-05
執筆担当:香里園とみた整形外科リウマチクリニック 河西 紀秀
掲載:2023年4月4日
【論文の概要】
アマチュアアスリートにおける遅発性筋肉痛(DOMS)に対する冷水浴(CWI)及びスポーツマッサージの効果を調査した研究である。60名の男性アマチュアアスリートを4つのグループ(n=15)に無作為に分け、下肢にプライオメトリック・トレーニングを行った後、CWI、スポーツマッサージ、またはそれらを併用した群と対照群とに分け検討した。
主なアウトカム指標は、疼痛(VAS)、労作(Borgスケール)、大腿直筋周囲(超音波診断)、膝関節屈曲可動域、膝関節伸筋の等尺性筋力、およびCPK値である。
プライオメトリック・トレーニング前、治療直後、運動後24時間、48時間、72時間後に測定した結果、各群間に有意差は認められなかった。CWIは、運動後2日目と3日目の両方で、CWIとスポーツマッサージの併用群、および対照群と比較して疼痛の改善を示した。また、CWIと併用したスポーツマッサージ群は対照群に比べ、疼痛の感覚を有意に減少させた。本研究における治療介入は、疼痛の軽減及びDOMSの症状改善に対しどのような影響が認められるのか。また、機能的能力の改善においても検証され報告されている。
【解説】
DOMSはプロ・アマ問わず、高強度のプライオメトリック・トレーニング後に最もよく見られる臨床症状である1)2)3)
本研究における、新規性としては、疲労プロトコルの後にクールダウンプログラムを実施し、実際のスポーツ条件をシミュレートしていることである。
DOMSの症状を改善するための治療法として、CWI4)、スポーツマッサージの使用、及び過労性運動後のクールダウンの実施を支持している。効果量については、すべての変数が大きな効果を示したが、但し本治療法を実践する場合、CWIとスポーツマッサージの併用はアスリートの機能的能力の改善に大きな影響を与えることはないようである。
しかし、DOMSを軽減することは示されており、プライオメトリック・トレーニング後のクールダウンはCWIとスポーツマッサージを組み合わせることで、痛みやDOMSの軽減において部分的に効果が得られたと報告されている。DOMSを有するアスリートの回復戦略として、機能的改善を目的に実践する場合においては、リカバリーの介入方法を検討する必要性があると思われる。
【引用・参考文献】
1. Newham, D.; Mills, K.R.; Quigley, B.M.; Edwards, R.H.T. Pain and Fatigue after Concentric and Eccentric Muscle Contractions. Clin. Sci. 1983, 64, 55–62.
2. Clarkson, P.M.; Byrnes, W.C.; McCormick, K.M.; Turcotte, L.P.; White, J.S. Muscle Soreness and Serum Creatine Kinase Activity Following Isometric, Eccentric, and Concentric Exercise. Int. J. Sports Med. 1986, 07, 152–155.
3. Cheung, K.H.; Hume, P.A.; Maxwell, L. Delayed onset muscle soreness: Treatment strategies and performance factors. Sports Med. 2003, 33, 145–164.
4. Ingram, J.; Dawson, B.; Goodman, C.; Wallman, K.; Beilby, J. Effect of water immersion methods on post-exercise recovery from simulated team sport exercise. J. Sci. Med. Sport 2009, 12, 417–421.
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