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化学療法誘発性末梢神経障害に対する無線型TENSの効果

化学療法誘発性末梢神経障害に対する無線型TENSの効果

Jennifer S. Gewandter , Jenna Chaudari , Chinazom Ibegbu , Rachel Kitt , Jennifer Serventi , Joy Burke , Eva Culakova , Noah Kolb , Kathleen A. Sluka , Mohamedtaki A. Tejani , and Nimish A. Mohile . Wireless transcutaneous electrical nerve stimulation device for chemotherapy-induced peripheral neuropathy: An open-label feasibility study.

PMID: 30151681 PMCID: PMC6393221 DOI: 10.1007/s00520-018-4424-6


No.2021-05

執筆担当: 和歌山国際厚生学院 福井 直樹

掲載:2021年3月10日


【論文の概要】

化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)は、神経毒性化学療法薬を投与されている患者の約68%に発症し、約30%の患者で化学療法終了後も少なくとも6ヵ月間持続すると言われている。CIPNは、一般的に灼熱感/電撃痛、疼痛、疼痛、けいれん、しびれなどの神経障害性症状の可変的な組み合わせとして発現し、バランス障害、転倒の増加、歩行障害、日常生活活動の制限、睡眠の質の低下、QOL低下などと関連している。現在、CIPNに対するゴールドスタンダードの治療法はない。CIPNの動物モデルでは、有害な感覚信号を伝達する後角ニューロンが有害な刺激に対する応答性の亢進を示し、中枢興奮性の亢進を示唆している。したがって、中枢興奮性を低下させ、中枢抑制を高める介入はCIPN症状を改善する可能性がある。経皮的電気刺激(TENS)は、一般的に痛みのコントロールに使用される安全で非薬物療法であり、安価な治療法である。ヒトの研究では、疼痛抑制時のTENSによるオピオイド受容体の活性化が確認されており、線維筋痛症患者ではTENSが中枢抑制を回復させることが示されている。本研究は、29名のCIPNに対する無線型TENSの実現可能性と予備的な有効性を検討した。結果、European Organisation for Research and Treatment of Cancer-CIPN2はベースラインから13%(p=0.004)改善した。Short Form McGill Pain Questionnaire-2は52%(p=0.002)改善し、神経障害性疼痛、間欠性疼痛、持続性疼痛の各サブスケールで最大の改善が認められた。痛み(38%、p=0.0001)、しびれ(30%、p=0.002)、しびれ(20%、p<0.0001)、けいれん(53%、p=0.005)の各症状については、NRS日誌のスコアでも改善が認められた。Utah Early Neuropathy Scor (UENS)は、有意な改善を示さなかったもののlarge fiber(Aβ:振動覚、触覚) 感覚サブスコアで48%改善した(p=0.04)。感覚閾値は16人中10人(63%p<0.0001)で改善し、無線型TENSを用いたTENSの実施可能性と有効性を示した。


【解説】

TENSによる疼痛とけいれんの平均改善率は40%以上で有望であると思われる。しびれの改善は小さかったが(20%)、薬理学的治療は一般的にしびれを改善しないため、患者にとって特に有益である可能性がある。1)TENS治療後のCIPNの改善は、以前の研究と一致している。2‐4)また、UENSが比較的短期間で確立したCIPNの変化を検出するのに有用な手段であることを示唆し、ほとんどの化学療法によって誘発される神経障害は主に感覚的なものである5)ことを考慮すれば、UENSはCIPNでの使用にも妥当性があると思われる。TENSは安全な非薬物療法であり、有効性が実証されれば、CIPN患者に有益な治療法の選択肢を提供することになる。


【引用・参考文献】

1) Hershman DL, Lacchetti C, Dworkin RH, Lavoie Smith EM, Bleeker J, Cavaletti G, Chauhan C, Gavin P, Lavino A, Lustberg MB, Paice J, Schneider B, Smith ML, Smith T, Terstriep S, Wagner-Johnston N, Bak K, Loprinzi CL (2014) Prevention and Management of Chemotherapy-Induced Peripheral Neuropathy in Survivors of Adult Cancers: JCO 32:1941–1967.

2) Wong R, Major P, Sagar S (2016) Phase 2 Study of Acupuncture-Like Transcutaneous Nerve Stimulation for Chemotherapy-Induced Peripheral Neuropathy. Integr Cancer Ther 15 (2):153–164.

3) Pachman DR, Weisbrod BL, Seisler DK, Barton DL, Fee-Schroeder KC, Smith TJ, Lachance DH, Liu H, Shelerud RA, Cheville AL, Loprinzi CL (2015) Pilot evaluation of Scrambler therapy for the treatment of chemotherapy-induced peripheral neuropathy. Supportive Care in Cancer 23 (4):943–951.

4) Smith TJ, Coyne PJ, Parker GL, Dodson P, Ramakrishnan V (2010) Pilot trial of a patient-specific cutaneous electrostimulation device (MC5-A Calmare(R)) for chemotherapy-induced peripheral neuropathy. JPSM 40 (6):883–891.

5) Argyriou AA, Kyritsis AP, Makatsoris T, Kalofonos HP (2014) Chemotherapy-induced peripheral neuropathy in adults: a comprehensive update of the literature. Cancer Manag Res 6:135–147.

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