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神経疾患患者に対する経頭蓋直流電気刺激と歩行練習の併用効果 (システマティックレビュー)

神経疾患患者に対する経頭蓋直流電気刺激と歩行練習の併用効果

システマティックレビュー


Rubén Hernández de Paz , Diego Serrano-Muñoz , Soraya Pérez-Nombela , Elisabeth Bravo-Esteban , Juan Avendaño-Coy , Julio Gómez-Soriano . Combining transcranial direct-current stimulation with gait training in patients with neurological disorders: a systematic review. J Neuroeng Rehabil 14;16(1):114, 2019

Pubmed PMID: 31521179 PMCID: PMC6744683 DOI: 10.1186/s12984-019-0591-z


No.2021-03

執筆担当: 福岡国際医療福祉大学 光武 翼

掲載:2021年3月8日


【論文の概要】

経頭蓋直流電気刺激(以下tDCS)は頭部上から微弱電流を通電することで脳皮質活動に影響を及ぼすことができる機器である。健常者に対してtDCSを行うことで、運動学習を促進できる1)。さらに、tDCSは単独での治療だけでなく、他の治療を組み合わせることで効果を高める可能性がある。しかし、神経疾患患者に対するtDCSと歩行練習の組み合わせに関しては、介入効果に統一した見解が得られていない。本システマティックレビューの目的は、神経疾患患者に対するtDCSが、歩行練習の効果を高めることができるか検証することとした。さらに、効果を最大限に高めるためにtDCSの設定を記録し、解析した。

Pubmed、PEDro、Cochrane databaseを用いて、tDCSと歩行練習を組み合わせた無作為化比較対照試験を検索した。2010年から2018年までの時系列フィルタを適用し、歩行機能を定量化した変数が示された研究のみを対象とした。

合計274編の研究が見つかり、25編が適応基準に該当した。その中で、17編は除外基準に該当したため本システマティックレビューには含まれなかった。最終的に、これらの基準に該当する脳卒中患者91名、パーキンソン病患者57名、脊髄損傷患者39名を含む8編の研究を評価した。4編はブラセボ治療と比較していずれかの変数の改善が認められなかった。

tDCSが歩行練習のために、様々な戦略の効果を高めることができる確証は得られなかった。tDCSを行うための従来の設定を最適化するためには、より大きなサンプルサイズと適切なフォローアップ期間がある特定の病態を対象とした研究が必要である。


【解説】

非侵襲的脳刺激法は、脳卒中後の神経可塑性およびリハビリテーション効果を高めるための新たなアプローチである。神経疾患患者の歩行障害に対するtDCSの効果について様々な報告がある。今回、半数の研究に関しては偽刺激と比較して改善が認められなかった。この結果には、介入方法が統一できていないことが影響している可能性がある。散見される論文をレビューする中で、刺激強度や陽極・陰極電極の刺激部位、介入時期、併用手段などは統一した見解が得られなかった。同時期に公開されている脳卒中患者を対象としたtDCSが歩行能力に及ぼす効果に関するシステマティックレビュー2編も類似した結果が得られている2,3)。本システマティックレビューの限界にも記載されているが、対象者数を増やしていくとともに、刺激パラダイムを確立していく必要がある。



【引用・参考文献】

1) Nitsche MA, Schauenburg A, et al. Facilitation of implicit motor learning by weak transcranial direct current stimulation of the primary motor cortex in the human. J Cogn Neurosci 15(4):619–626, 2003

2) Li Y, Fan J, Yang J, et al.: Effects of transcranial direct current stimulation on walking ability after stroke: A systematic review and meta-analysis. Restor Neurol Neurosci 36(1):59-71, 2018

3) Vaz PG, Salazar APDS, Stein C, et al.: Noninvasive brain stimulation combined with other therapies improves gait speed after stroke: a systematic review and meta-analysis. Top Stroke Rehabil. 26(3):201-213, 2019


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